「おま国」や「おま言語」と、日本の特異性。ひいては、これからの日本人について

 世界人口は60~65億人からさらに増え続け、2017年現在では、約76億人と言われています。
 それに比べて、日本人の人口は、2016年で約1.27億人。人口の比率にすれば、世界人口に対して、日本人口はおよそ1~2%程度ということになります。

 ……この数字を知ってしまうと、Steamなどにおける、いわゆる「おま国」や「おま言語」についても、私は納得してしまいます。

「おま国」は当然の帰結

 一部の偏屈な方々にとってわかりやすい例なので引き続き取り上げますが、「Steamで公開する」ということは、ゲームを「世界に向けて発信する」ことと同義です。

 英語や中国語に関しては、人口比率としてはかなり大きいので、一つの企業(ゲーム開発会社)から見た場合に、意見に対応することについての異論はさほど生じないと思います。
 英語は約17.5億人、中国語は12.0億人が使用していると言われており、対応する(意見に応える)場合、英語であれば1/4、中国語であれば1/6のユーザーに対して対応したこととほぼ同義と言えます。

 しかし、日本語については、単純な人口比で言ってしまえば1~2%程度でしかありません。
 また、余談ながら、Steamの日本語レビューやAmazon.co.jpのカスタマーレビューを見ていると、日本語ユーザーから寄せられる意見は、ゲームのコンセプトとはさほど関係のない指摘が多いように感じます。私が日本人だからこそ、そういった意見が目につくだけかもしれませんが……

日本が嫌いなわけではない。ただ、リソースが限られているだけなのだ

 開発・発信する側にも「対応できる限度」、いわゆる工数があります。全ての客に応えたくとも、現実においては、対応できる人員は限られています。
 たとえ日本のゲーム企業が日本向けに日本語で作ったゲームであろうとそれは変わりません。おそらく、海外向けに発行する際にローカライズ対応としてスクリプトの修正等を行われていると思うのですが、修正が意図通りに行われていることをテストするだけでなく、修正による影響が生じていなかったこともテストする必要があります。
 ローカライズに関わる作業がどれだけあって、どれだけ洗練されていて、どれだけの費用がかかるのか、いずれも具体的にはわかりませんが、「費用が発生するであろう」ということは想像ができます。

ユーザーが英語を扱えれば問題ないはず

 そういった開発側の事情もある程度は想像ができるので、私は「おま国」や「おま言語」といったローカライズの問題に、目くじらを立てることはありません。むしろ、それで少しでも利益が出るのであれば、積極的にやってもらっていいとさえ思います。……というかそもそも、日本語に対応していなくとも、私は遊びたいものは、買うし、遊びます。
 私も英語を上手く扱えるわけではない、それどころか日本語も非常に難しいとは感じます。しかし、人間同士のコミュニケーションと同様に、大切なのは言語を扱うスキルではなく、わかり合おうとする気持ちだと思うので、英語のタイトルでも食わず嫌いをせずに遊んでみてはどうだろう、と考えています。

 ローカライズの問題に限らず、日本に住む日本人は、意識が日本国内のみへと向きすぎているようにも感じます。それが「ガラパゴス化」と呼ばれるような独自性を育んでいるのだろうと思いますが、せっかく育まれた独自性が、外へと発信されないのは、なんだかもったいないようにも思います。
 日本語だけではなく他国の言葉も使用し、国や言語に囚われることなく交流していきたいと、強く思います。少なくとも、英語をある程度読むことができれば、得られる情報やコンテンツの量は、格段に増えるのですから。

※2017/12/18、記事の内容を大幅に修正いたしました。
 過去に日本ファルコムさんがTwitterで「(Steamで日本語版を出さないのは)単純に売れないから」とツイートされていて、それに基づいた認識から常日頃の鬱憤へとシフトするような内容になってしまっていたので、タイトルに沿うように修正しています。
 なお、コメントで教えていただいたのですが、実際の「おま国」はパブリッシング契約によって生じていることが多いようです。記事の修正は、私の文意が「ユーザーが英語を扱えれば問題ないはずだよね」に集約されると感じたので、ひとまず初稿当時の認識に沿って行いました。


終わりや終わり! 終了!!

書いた人: 久世うりう (kuzeuriu) お問い合わせ


コメント

  1. 匿名 より:

    数の理論までで止めておいた方が良かったのでは…
    “お客様は神様”のくだりが具体的に何を指しているのかわかりませんが、少なくともネットでは、言語を問わずクソゲーはクソゲーと叩かれますし、対話しない(顔の見えない)開発者は叩かれます。大衆は鏡でしかありません。

    おま国に関しては一部の、というか多くの大型タイトルのおま国はSIEJA等とのパブリッシング契約によるもののようで、ゲーム機の販売が解禁された中国をはじめ、様々な国で行われているようです。
    開発レベルでプラットフォーマーが関わっている場合は単純に独占する場合もありますが、昨今のメジャーなゲームはいわゆる「先行発売」型がほとんどですね(ゲーム機のPC化の影響もありそうですが)。これは1週間~1ヶ月で解禁される軽いものから、1年間縛るものまで多様です。
    様々なゲームの機種毎&PCの発売日のズレを比較すると、事情が透けて見えて面白いですよ。

  2. くぜうりう より:

    あっ、本当ですね……記事を修正しました。
    ご指摘いただきありがとうございます。

    お客様は神様のくだりはゲームとはあまり関係がなく、「実店舗のあるお店(飲食店など)を見ていると、文化的なものなのか、客と店員が対等ではないよなぁ……」と感じていて、それを強引に混ぜ込んでしまっていました。
    レビューについても「カスタマーレビューに出品者や自分勝手な要望を書いてる人は一体何なんだろう……」という思いが出てしまっていました。反省。

    なるほど……発売日のズレはあまり気にしたことがありませんでした。
    確かに、特別な事情がなければ一斉に公開できるはずで、そこにズレが生じるということは、契約や開発における何らかの事情があるはずですものね。
    とても勉強になりました、コメントありがとうございました!

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