ローチケ騒動と情報リテラシー。

 久々にニュース的なものを取り扱った記事を。穏当に済んでよかったなぁ、だが、しかし……と思ったので。

 そもそもローチケ、ローソンチケットとは何ぞやというと、その名の通りローソンの子会社であるローソンHMVエンタテイメントが運営しているチケット販売サービスです。詳しくは公式サイトの利用ガイドWikipediaをどうぞ。

 で、客側の主張は以下の通りですが、ローソンとしてはその事実はないと否定している、というのが今回の騒動の発端。

     

  • ローチケを利用してミュージカルのチケットを抽選予約していたとする客が、覚えのない予約キャンセルメールを受け取った。
  •  

  • ローチケに問い合わせたが、チケットはキャンセル済のステータスであり再度の用意はできないと回答された。

誰かがウソをついている……!

 このお話には、客、ローチケ、ローソン店舗の3者が登場しています。このうち、主張をしているのは客とローチケで、双方がの主張が全く食い違っている以上、どちらか、あるいはその間のどこかに『ウソ』があります。意図的か否かは置いても、事実とは異なる点がある、ということです。

 事実であれウソであれ、原則として人は「自分に有利になるよう主張をする」ということを念頭に置き、それぞれの主張について考えてみましょう。

客側がウソをついている。

 いきなりですが、濃厚です。
 主張を理性的に述べ、メールや領収書などのもっともらしい証拠を挙げているように見えますが、逆に言うと、信じられる要素はそれだけです。SNSへの投稿ということもあり、個人を特定するための情報は消し込まれており、証拠としては不十分、実は掲載する意味がありません。
 そして何より、このお客さんの主張が通った場合、ローチケやローソン店舗に落ち度があった場合とは違い、「ローチケ側にチケットの取得を都合させる」あるいは「それに準ずる賠償を求める」といった明確なメリットが発生しうるのです。

ローチケ側がウソをついている。

 まずありえません。
 こうしたサービスは、なるべく自動的かつ安定的に運営できるように省力化します。その過程で、不安要素は、極力排除します。
 サービスを提供する側である以上、利用規約なりなんなりにキャンセルできない旨を明記しておけばいいので、利用者の利便性を優先する意思と余裕がない限り、利用者側でキャンセルできるような仕組みは用意しません。
 キャンセル機能が存在しなければ、誤動作等によりステータスがキャンセルへ移行することもないし、それをメールで通知することもありません。

ローソン店舗側がウソをついている。

 ほぼ、ないでしょう。
 仮に、ローソン店舗が予約キャンセル操作を代行できるものとして、それを店員などが勝手に行い、返金額をスッと抜いていたとしましょう勤務記録を辿れば、すぐさまバレます。謝罪で示談か、お縄です。
 また、これは店舗というよりはローソンのシステムの話になりますが、店舗側でキャンセルできるようにしてしまうと、誤操作によるキャンセルという人為的トラブルが発生しうるため、やはりシステム的には好ましくありません。

実はローチケではない。あるいは委託先の着服など。

 入金先や、電話で対応していたローチケのサービス窓口について、偽の業者であったという可能性。または、業者自体は正規の委託先だが、その会社が着服していた可能性。……これ、考慮する必要ありますか……?
 一個人から2万円に満たない金額を引っこ抜くために必要な手間が、得られる額面に見合いません。
 少なくとも私だったら、どうせ同じような手間をかけるのなら、もっと大きい額面の商品を利用して着服しますし、なるべくインターネットに弱そうな方々が好む商品を狙います。

真相が明らかになったようでよかった。

 といった具合にざっくり考えてみた結果、三文芝居だなぁと感じたので、私のもとに客側の主張ツイートが流れてきたときにはリツイートしませんでした。
 広まるほどにローチケ側の不利益が際立ちますし、フォロワー稼ぎ目的の可能性もありましたし、何よりネタとしてもいまいちです。せめて面白い脚本だったら、調査や考察のしがいもあり、違ったかもしれませんが。

 そして今日、冒頭に掲載したツイートが流れてきまして、真相が明らかになったようだったので、こちらはリツイートしました。
 ローチケの肩を持つわけではないですが、やはり不当な不利益を被ることはあってはならないと思うので、ささやかながら信頼回復の助けになればな、と。
 取り乱していたお客さんについても特に思うところはないのですが、強いて言うなら、あなただけだといいなと思ってます。そして願わくば、今回だけであり、今回の件で周りから必要以上に責められることがなければいいな、と。
 糾弾していいと見るや否や誹謗中傷のメッセージが不特定多数から届くっていうの、非常に病んでますよね。

なぜこの記事を書いているか。

 ではどうしてわざわざ記事を書いているかと言うと、むしろこの騒動に過敏に反応している方々について、少々残念に感じたからです。

事実認定が安直すぎます。

 一応、こうして書くにあたって、私も簡単に調べたりするわけですが、検索してヒットした情報の中に、ツイッターの投稿をまとめたページがありました。
 総じて、あの、鵜呑みにしすぎというか、安易に信じすぎというか、看破できていなさすぎというか……事実認定のハードル低すぎませんか……? それっぽければ真実ですか……?
 ローソンまたはローチケに親でも殺されたのか、みたいなツイートまで散見されましたし。西村博之さんが言っていた「うそはうそであると見抜ける人でないと難しい」というフレーズが脳裏をよぎりました。

システムより人を疑うべきです。

 あと、システムをあまり軽く見ないでいただきたいなー、とは声を大にして言っておきます。
 人間よりも機械の方が、よほど正確に仕事をします。設計や実装によって不具合が生じることもありますが、それは実行する機械に問題があるわけではありません。
 悪意ある攻撃による乗っ取りなどを考えたとしても、それは機械に固有の弱点だとは言えません。システムの脆弱性とは、言ってみれば「システムからすれば正しいと思っていることを悪用される」ことなわけで、人間だって、悪意ある接触を正しいと判断してしまう場面が存在します。
 今のところ明確な弱点は、「融通がきかない」ところでしょうか。それがある意味での道具らしさであり、愛嬌のようなところもあるのですが。

総じて、情報教育の弱さを感じます。

 これらを「情報リテラシー」とかそんな言葉でひとくくりにしちゃっていいのかわからないですが、いつか足もとをすくわれるぞー、と。

 あと、密かに真相が気になっている騒動として『メールがぜーんぶ消えたわ ああ、さっぱりした』というものがあるのですが。 あちらは文面のセンスが素敵ですよねー……恐怖をほどよく掻き立てられます。おそらくネタだとは思いますが。
 本当にクラッキングだったと仮定して、私が攻撃するなら、Googleみたいな変態集団のセキュリティを突破するリスクを冒すなら、わざわざメールを消すなんて派手なことはしませんし、特徴的なメッセージも残しません。必要な情報だけ抜き去って悪用します。

 いずれにせよ、真贋を見分ける目を持ちたいなぁ、と切に思います。


終わりや終わり! 終了!!

書いた人: 久世うりう (kuzeuriu) お問い合わせ


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