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そして書いてしまう。

設定してあったはずの「主人公の名前」を忘れたのは秘密だ。
まあ、どうせそのときの勢いで書いてるんで忘れようが忘れまいが大差ないですけどね!


「すみませーん、トウコ先輩はいらっしゃいますか?」
 俺は校舎三階、家庭科室の戸をノックする。
 はーいなんでしょうという返事と、ややあって開く引き戸。
 開いた戸を隔てた俺の前には、二人の女性がいた。
「モモコちゃん、知り合い?」
「んーん、初対面。まあケイは茶でも入れれー」
「おーけい、わかった」
 ……茶? 確かにここは設備は十分だろうけども良いのかそれは。
 俺の疑問をよそにケイ先輩(やりとりから推測、胸部の膨らみで断定)はお湯を沸かし始めた。
「とりあえずあたし、モモコだから」
 モモコ。俺、聞いたとおりではあるけど、トウコって言ったような。
「え? あ、すみません!」
 素直に頭を下げる。その様子を見てモモコ先輩はからからと笑った。
「いいよ、気にしてない。キミは?」
「一年のコウタです、よろしくお願いします」
 深々と礼をすると、モモコ先輩は満足げに頷いた。
「んで、何しにきたの?」
 俺とモモコ先輩は手近な卓に座り、俺に話の続きを促す。
 正直、緊張している。これはきっと、俺の将来を左右する……
 深呼吸をして心を落ち着ける。昨日頭の中で何度も練習した。
 そうだ、あとはただやってみるだけだ。結果なんて後から付いてくる。
 だから男らしく、勇気を出して言おうじゃないか。最後に大きく息を吸う。
「ここに笑いに精通した先輩がいると聞いて来ました、弟子にしてください!」
「……は?」
 モモコ先輩は唖然としたまま硬直している。
 ケイ先輩も淹れたての緑茶を置きながら目を丸くしている。
 やはりダメだったのか、と項垂れ始めた時、モモコ先輩は笑って言った。
「あはは、面白いねキミ! いいよ、おいで! さ、M-1目指すぞ!」
 モモコ先輩は俺の肩に熱く手を回し、もう一方の手で窓の外、さらに遥かな向こうを指差した。
 その指の先には太陽が、僕を追いかけておいでよーと橙色に輝いていた。 
「はい、モモコ先輩!」
「よーしビシビシいくぞ弟子よ! まずは発声だー!」
「はい、師匠! あー! えー! いー! うー! えー! おー! あー! おー!」
「声が小さーい! もっと気合入れてやらんかーい!」
「はいー! かー! けー! きー! くー! けー! こー! かー! こー!」
「えーと……そんな集まりだっけ、わたしたち……?」
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毎度の事ながらたいした意味がないので、次回はまた全然違う話が展開されているかと。


終わりや終わり! 終了!!

書いた人: 久世うりう (kuzeuriu) お問い合わせ


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